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坊ちゃんの身体が女になった。どこを触っても柔らかいし、ちょっと抱きしめたら折れそうで抱くに抱けない。
やっぱり普段通りの坊ちゃんが一番だぜ。
でも、やっぱり坊ちゃんは坊ちゃんなんだよな。女になっても可愛いんだよ。
昨日なんて…
「外に出ないとフランシスは捕まりません。」
俺が止めても聞く耳をもたず、行くと行ってローデリヒは外に出た。
勿論俺様は大反対だ。こんな可愛らしい坊ちゃん、ん?今は嬢ちゃんだな。つまり嬢ちゃんを他の奴に見せるつもりはない。
庭で嬢ちゃんを引き留めているいると、突風が吹いた。
ザザザザザッ!!!
嬢ちゃんはその時スカートを履いていたわけだ。
悪戯な風はローデリヒのスカートを捲りあげ白くて細い足を露わにした。
「!?」
木の葉が目に入らないように顔を隠す嬢ちゃんの足元は無防備で、俺は瞬きも忘れて凝視していた。
少しよろめいた嬢ちゃんにハッと正気に返る。こんな華奢な身体では飛ばされるのではないかと思い、急ぎ身体を抱きしめた。
風が通り過ぎる。
「ありがとうございます。」
見上げてくるローデリヒに目を向けるとちょうど胸の谷間が視界に入る。どちらかというと控え目ではあるが、このアングルからの眺めは最高だ。
思わずじっくりと眺める。そしてそこが透けていることに気付いた。
そうだよな、もともと男なんだから坊ちゃんが胸隠してたらおかしいもんな。
この眺めは捨てがたいがこのまま街に出て他の奴に見せるのは耐えられない。今すぐこのまま押し倒したい衝動を抑えて恋人の胸元を守るのが俺の役目だ。
「嬢ちゃん、胸透けてるぜ。」
嬢ちゃんの顔がカーッと顔が赤くなる。そんなこと気にも留めていなかったのだろう、そんな姿が可愛くて抑えた欲望に再び火が付く。
「言いたいことはそれだけかしら。」
背後から地の底から響くような声が聞こえた。
振り返ろうとしたが、一瞬にして目の前が真っ黒になった。
【snow white03へ続く】
女体化注意!
イタリアが林檎をローデリヒに差し出した。
「あのね、オーストリアさん。この林檎食べてください」
嬉しそうなイタリアに差し出された林檎は赤く熟していて、とても美味しそうだった。
「美味しそうな林檎ですね」
一口林檎を口にした。
すると目の前が真っ白になった。遠くでフェリシアーノとルートヴィヒの叫び声が聞こえる。
「フェリシアーノ、この林檎はどこで手に入れた?」
「フランシスお兄ちゃんが、ここに来る途中くれたんだ。」
「フランシスがか?」
「ローデリヒさんと仲良くなりたいから、どうしても林檎を食べてもらいたいって言ってたから。」
そこで完全に意識が途切れた。
目が覚めると、服に違和感を感じた。
心なしかベッドがいつもより広いような気もする。しかし確かに今居るのは紛れもなくいつもの自室だ。
そしてその違和感は胸元にも現われていた。触れてみると微かだが膨らみがあって柔らかい。間違いない。服が縮んだわけでもベッドが大きくなったわけでもない。
身体が女性になっているのだ。
姿見の前で確認する。身長も低くなっていた。
あまりのことに呆然とする。がここでボーっとしていても何の解決にもならない。
先ほどの記憶が確かであればフランシスが渡したという林檎が怪しい。
ならば原因を突き止めるしかない。
かなり背が低くなってしまった為、クローゼットを開き身長に合う服を探し始める。
やはり物は大切にしておくものですね。
少し身長が縮んだところで服に困ることが無いのは、普段からの倹約のお陰だ。クローゼットから小さめの服を探すものの、普段着ることが無い為なかなか見つからない。
出て来たのはハプスブルク時代のドレスだった。このドレスは子供のころに女装の風習があった名残から、女の子だと勘違いされて送られたものだ。流石にそれを着る気はないので他の服を探すが、やはりなかなか見つからない。
そうこうしている内に誰かが階段を上がってくる音が聞こえた。
誰でしょう。この足音はルートのものでは無さそうです。
そうすると頭に浮かぶのはもう一人の同居人。ギルベルト・バイルシュミットだ、彼には特にこの姿を見られる訳にはいかない。
もしかすると自分と気付かれないのではないか、そんな考えが頭をよぎる。しかし常から皆が見慣れている服装で居てはバレてしまうかもしれない。そんなことをグルグル考えていると足音が近づいてきた。もしかするとこの部屋に入ってくるかもしれない。迷っている暇もなく意を決してドレスを着て、複雑なリボンを結ぶ。
扉の前で足音が止まる。すると控え目にノックの音が聞こえた。ギルベルトはローデリヒの部屋に入るのにノックなどしない。では誰が?そこでもう一人の来訪者に思い至った。フェリシアーノだ。普段ならギルベルトの足音を聞き間違えることなど無いのだが、余程気が動転しているらしい。
ノックに応えようとして止める。そもそもこの格好の私が私の部屋に居ることがおかしいのではないか。何と説明をしよう。この場所から出ようにも部屋の外に出れる場所は今フェリシアーノが立っているドアと、自分の後ろにある窓しかない。迷っているとドアが開かれる気配がした。
余程気が動転していたようで、身体は普段では考えられない行動に出た。
慌てて窓を開けて外に飛び出したのだ。窓には大きな木が立っていて、その木の高さは降りるには最適だった。
本当はこんな、はしたない事はしたくなかったのだが外に出れる場所がドアと窓しか無いのだから致し方ない。
ヒラリと木に飛び移り下を目指す。しかし着なれない服が邪魔になり、木から足を滑らせた。
「!!」
どさっ!!
衝撃が体を襲う。と思ったが痛みは一向に訪れない。
そっと目を開ける。
「大丈夫か?」
ルートヴィヒが身体を受け止めていた。
「はい。」
慣れないことはするものではない、と思う。
木から落ちた時に足を捻って結局動けなくなってしまった。こうなってしまったらフランシスを探しに行くどころではない。
私は空からの来訪者としてバイルシュミット家のソファで休ませてもらうことになった。
「か~わいぃね~。ねぇねぇ名前なんていうの?」
隣ではフェリシアーノが嬉しそうに話しかけていた。この子は本当に、どこで育て方を間違えたのかと思う。
そこに一番会いたくない相手が現れた。ギルベルト・バイルシュミット、私が逃げ出したかった理由は彼にこの姿をからかわれたくないからだ。
「坊ちゃん?」
ドキリ。しかしその言葉は私ではなく隣のフェリシアーノに向けられたものだ。
「フェリシアーノちゃん、坊ちゃんが居なくなったらしいな。」
「そうなんだ~。ギルベルトどうしよう。」
その視線は私を真っ直ぐに捕えている。もしかして、気付いているのだろうか。
「私、用事を思い出しましたので失礼します。」
何だか居た堪れなくなり、そう言ってソファを立つと先ほど捻った足にズキリと痛みが走る。よろめいた私は次の瞬間ギルベルトの腕に抱きとめられていた。
「足が痛いんだろ、だったら無理するな。」
そう言ってゆっくりとソファに座らされる。こんなに優しいギルベルトはなかなか見ることができない。自分が今、彼が知るローデリヒ・エーデルシュタインではなく、見知らぬ女性の姿だからこんなに優しい扱いを受けるのだろうか。普段見ることが無い彼の態度に何だか胸のあたりがチクチクしてきた。
「こんにちは。ローデリヒさんいますか?」
そこで突然リビングに新たな来訪者が現れた。
「うぉっ!?ガリ男!?」
「誰がガリ男だよ、つべこべ言わずさっさとローデリヒさん出せよ。」
エリザベータの弟だ。彼はそこでようやくソファに座っている私の存在に気付いた。ジッと見つめられる。ばれるのではないかとドキドキした。
かと思うと私の隣に座って抱きついてきた。
「いつもより腰細いですね。」
耳元で囁かれて、顔が赤くなる。
「なっ!?」
「それに柔らかい。」
「なんだお前、坊ちゃんから趣旨替えか?」
「こっ、こら、お放しなさい。」
「嫌です。」
「ヘーデリヴァーリ駄目だよ~。」
エリザベータの弟ときたら、腕力だけは強い。さらに自分ときたらいつもより貧弱なのだから振りほどける訳がない。
「甘い匂いがします。」
カァッと顔が赤くなるのがわかる。フェリシアーノとヘーデルヴァーリに挟まれながら困っているとギルベルトにヒョイと抱えあげられた。
「こいつは俺が預かる。」
そうして連れてこられたのは彼の部屋。
「他の奴に触らせるなよ。」
その言葉は紛れもなく本当の私に告げられた言葉だった。
「気付いていたんですか?」
「当たり前だろ、俺がお前を間違えるかよ。」
「ヘーデルヴァーリも気付いてたぜ。」
「しかもその格好。」
彼の視線が私の体を上から下までチラリと捕え、すぐに離れる。
「お前絶対外に出るなよ。」
彼は私のみっともない姿を見てそう呟く。
「私だって、好きでこんな姿になった訳ではありません。」
知らず情けない声が出た。
「だからっ…貴方に会いたくなかったんです。」
「馬鹿言うな。俺以外の奴に絶対会うな。」
即座に返された言葉の意味が判らなくて彼の顔を見つめる。
「他の奴に見せたくねーんだよ。」
そう言って顔を背けた。彼は私を馬鹿にしているわけでは無かったのだ。
『当たり前だろ、俺がお前を間違えるかよ。』
先ほどの言葉を思い出す。今までの心細い気持が嘘のように消えて、温かな感情が胸に広がった。
この姿でいるのも悪くないのかもしれません。
【snow white 02へ続きます】
自宅に到着するとピアノの音が聞こえていた。普段家でピアノを弾く奴がいないので、新たな同居人だろう。
気に入らない顔を少しでも見ないようにバカンスをしていた俺は旅行も終わって久々に自宅のドアを開ける。その音に気付いたらしくピアノの音が止まる。その部屋から出てきた軽い足音が俺を出迎える為に近づいてきた。
「よぉ。」
目の前に現れた相手は俺のことを確認するなり驚いたような瞳を向けた後、ドアの前で固まった。どうやら俺がここに住んでいることを知らなかったらしい。
気に入らねぇ。
新しい同居人、ローデリヒ・エーデルシュタイン。昔からこいつの事は気に入らなかった。理屈なんかなく、ただこいつの顔を見てると無性に組み伏せたくなる衝動に駆られる。国としての向上心?他の国相手にそんな気持ちにはならないのに、とにかくこいつを見てると押さえつけて服従させたくなる。
昔から抗ってどんなに痛めつけても弱音ひとつ吐かなかったローデリヒ。そんな彼が今や俺達の保護下にあるのだ。顔も見たくなかった奴だがそう思うと笑えてくる。
これから楽しくなりそうだぜ。
同居生活が始まってから、俺の最近の日課はお貴族様に仕事をやることだ。
「おい、坊ちゃん。今からこの部屋を掃除しろ。俺様が帰ってくるまでに塵ひとつでも残ってたらピアノは弾かせてやらないからな。」
膨大な量の書庫を示す。ヴェストに掃除するように言われていたが、人気者の俺様には暇な時間など無い。しばらく掃除をしていなかった部屋はひどく埃っぽくなっていて、出しっぱなしの本で溢れている。この量を今日中に片付けるのはまず無理だ。
「わかりました。」
澄まして応える坊ちゃんだが、俺様の出す課題を未だクリアしたことは無い。
俺はお貴族様を部屋に残して遊びに来ている筈のヴェネチア―ノちゃんを捜しに行った。
相変わらずヴェネチア―ノちゃんは可愛い。この可愛さをあの澄ました坊ちゃんにも分けてやりたいくらいだ。
俺様が坊ちゃんに無理を承知で雑務を言いつけるのは、単に嫌がらせをしたかっただけではない。俺様の真の目的は坊ちゃんが俺に泣いて許しを請う様を見ることだ。
俺様は坊ちゃんの情けない顔を想像して密かに笑みを浮かべた。
次の日もその次の日も俺は坊ちゃんに仕事という名目で雑用を押し付けた。どれも決して一日で終わることのない量だ。そしてその命令には最後に必ず条件が付く。
「仕事が終わるまでピアノは弾かせてやらないからな。」
当然雑務が終わることなどない。ローデリヒのピアノの音はこの家に帰ってきたあの日以来聞くことは無かった。
深夜。友人達との飲み会も終わりを告げて帰路に就く。その道すがらアントーニョの言葉を思い出す。
「なぁ、ローデリヒまた細なったんちゃう?」
「そーかぁ。」
あの時は気のない返事を返したものの、確かにアントーニョの言うとおりローデリヒの細い体はさらに痩せていた。いささか無理をさせすぎだろうか。
少し罪悪感が芽生える。
そろそろピアノを弾かせてやろうか。
明日の夜は坊ちゃんを休ませてヴェストと3人でゆっくり飲もう。
「飲まないと言っているでしょう。」
「お止めなさい、ギルベルト。」
折角の誘いも坊ちゃんの断りで台無しだ。ヴェストからは仕事が長引くという連絡が入ったので2人きりだ。
嫌がられると余計にやりたくなるのが普通だろ?俺は嫌がる坊ちゃんに無理やり酒を飲ませた。
俺様は酒に強いが坊ちゃんはその見た目通り弱かったらしく、酒が入った途端心ここにあらずだ。
酔っぱらうことは大体予想していたが酔った坊ちゃんがどんな醜態を曝すか実は楽しみにしていた。しかし目の前のローデリヒは普段と変わらない様子で隣に座っている。
面白くねーな。
新たにジョッキにビールを注ぐ、再び顔を上げるとローデリヒの顔に雫が零れていた。
どんな時でも毅然と振る舞っているローデリヒが泣いているなんて、酔っぱらっているにしても衝撃的だ。
お貴族様の涙なんて初めて見たぜ。
綺麗だと思う。無意識に指が頬を撫でていた。
「泣くな。」
「泣いてなんていません。」
どうやら自覚は無いのらしい。その答えとは裏腹に涙は増えていく。その様子を見て不覚にも愛しいと思った。ずっと違う感情で隠していたというのに。
「私が人前で泣くわけがないでしょう、お馬鹿さん。」
「じゃあこれは何なんだよ。」
「知りませんよ。」
さらに涙が頬を伝う。
「もういい、ローデリヒ。我慢するな。」
その様子が痛々しくて、頭を引き寄せて抱きしめる。
「よくないです。ずっと昔に泣かないって決めたんですから。」
「…そうか。」
ローデリヒの無表情な顔を思い出す。
そこでようやく気付いた。こいつが無表情なのはずっと一人で我慢するしかなかったからだ。
「だって…ピアノが弾けないんです。」
ローデリヒの奏でるピアノにはいつも心が宿っている。ローデリヒの苦しみも悲しみも音が救っていたのだ。今ローデリヒが泣いているのは他ならぬ自分のせいだ。
「俺が悪かった。」
ずっと言いたかったことが、言葉になった。
「泣いてもいいぜ。」
俺が受け止めてやるから。
「私からピアノを取ったら何も無くなってしまいます。」
「もう私には何も残っていないのです。」
名前も住むところも。それは他ならぬ俺たちが奪ったものだ。
それなのに最後にローデリヒを救っているピアノでさえも俺は触れさせなかったのだ。
自分が求めていたのは涙ではない。本当は自分を頼ってほしかっただけだ。
それを知っていながらずっと自分を偽って言葉に出せなかった。
「俺達が居る。お前を守ってやるから。だから…」
ようやくこの感情が何なのかわかった。今なら伝えられる。
「ずっと俺の側に居てくれ。」
何なんだよあのメガネ。
結局あれから一度も姿を見ること無く、翌朝を迎えていた。 昨日の雷雨が嘘のような快晴。しかし何だか心が晴れない。 ヴェストは昨日再度仕事に出かけて深夜に帰宅した。 そして今朝再び出かけたらしく、テーブルには俺とローデリヒ 2人分の朝食が各々の席に綺麗に並べられていた。 昨晩から食事の支度もせず、機嫌を損ねて一度も姿を現さない ローデリヒに苛立ちを感じる。 この苛立ちは直接本人にぶつけなければ納まらない。 そう思ったら即行動だ。俺はすぐさまローデリの部屋に向かった。
強めにノックをする。が返事は無い。 鍵の付いていない部屋のドアを開けて主の許可なく中に入る。 「お前いい加減に!」 と、そこで部屋の異常に気付いた。ローデリヒには珍しく 服が部屋に散らばっている。そしていつもは起きている筈の ローデリヒがベッドの上にぐったりと横たわっていた。
近づいて肩を触ると…
すごい熱じゃねーか。
ふぅ…。
医者も呼んで一通り看病し終わって、ようやく一息ついた。
そこでようやく目を覚ましたローデリヒと目が合う。
「ギルベルト…」
「ありがとうございます。」
そこでそんなに素直なのは反則だろ。顔が赤くなるのがわかる、って何赤くなってんだ俺は!?
「俺様が何か食べるもの用意してやるぜ!」
楽しみにしとけ!そう告げると慌てて部屋を飛び出した。
冷蔵庫を開けると昨日坊ちゃんが買ってきた食材が分けられることなく入っていた。袋の中身を取り出して行くと、中身は俺様とヴェストの好きなものばっかりだった。
気を取り直して俺様は以前ヴェネチアーノちゃんから教わったカボチャのリゾットを作ることにした。
しばらく料理をしていると、ヴェストが帰ってきた。
「兄さん、ローデリヒは大丈夫か?」
「ああ、大分落ち着いてる。」
味見をしながら答える。さすが俺様、料理美味すぎるぜ。
「ちゃんと謝ったんだろうな。」
何のことだ?しばらく考えてそう言えば昨日謝るように言われていたのを思い出す。
「あー」
「まったく、昨日ローデリヒはずっと兄さんのことを待ってたんだぞ。」
「え?」
ローデリヒの部屋にできたてのリゾットを持っていく。サイドテーブルに置いて、ローデリヒを起こす。その体はやはり熱く、今にも倒れそうで自分に凭れさせた。体を動かすのもだるそうで、スプーンにリゾットをすくって冷ましてから口元に運ぶ。
「食べれるか?」
普段なら絶対に食べないであろう、よっぽど辛いらしく頷くと素直に食べ始めた。
「美味しいです。」
「当たり前だろ、俺様が作ったんだぜ。」
こうして抱いているとローデリヒが以前より細くなったのが分かる。
「貴方は暖かくて気持ちいいですね。」
そんなことを言うものだから先ほどより強く抱きしめた。
「ローデリヒ悪かった。」
「貴方は私の事が嫌いなのですから、仕方ないですよ。」
ちょっと待てよ。
「嫌いな奴だったらこんなに心配するかよ。」
「じゃあ治るまで責任とってくださいますか?」
「ああ、でも治ったら全部奪うぞ。」
「はい。」
そう答えてローデリヒは幸せそうに微笑んだ。
ワード先生がnoinの文字に修正をかけます。違うもん!そういう使い方だもん!
ねみぃ。
午後3時。昼間独特のポカポカとした陽気がギルベルトの眠気を誘っていた。ソファでうつうつしていると耳に電話のベルが聞こえた。
暫く無視していたが、しつこく鳴り響くベルに、とうとう居留守を諦めて重い腰を上げて受話器をとった。
「ギルベルト?私です。」
受話器から聞こえて来たのは聞きなれた同居人の声。通りで電話がしつこく鳴っていたわけだ。
「何だよ坊ちゃんかよ。」
俺様のがっかり感溢れる声にお前はどんな反応をするだろう。
「迎えに来てください。」
予想とは全く違う言葉が返ってきた。ローデリヒが自分に迎えに来てほしいと言うのは珍しい。そこで俺は閃いた。
「いいぜ。」
なるべく優しい声で答える。
「何処にいるんだ?」
聞くと。おいおい、直ぐそこじゃねーか。
「迎えに行ってやるから絶対そこから動くなよ。」
そう言って電話を切った。けせせ。もちろん直ぐに迎えに行く気は無いぜ。ゆっくり行って迷子の坊ちゃんの困った顔じっくり見てやるぜ。
俺様は20分後に出発する予定を立てて、万全のコンディションを整えるべく短い睡眠をとることにした。
待ってろよ坊ちゃん。
どおぉぉぉぉぉぉーーーーーん!!!!!
その音に驚いて目が覚めた。いつものキッチンから聞こえる爆発音とは桁違いの、腹からくるような凄まじい音だ。見れば先程の麗らかな天気が嘘のように窓の外は雷雨だった。
やべぇ!!
柱の鳩時計を見ると時刻は既に午後5時。俺は怒り狂うお貴族様を想像して慌てて玄関へ向かった。
それと同時に玄関のドアが開かれる。そこから早めに帰って来たらしいヴェストと雨に濡れたローデリヒの姿が現れた。ローデリヒと目が合う。烈火のごとく怒るローデリヒを想像していたが。想像と違ってローデリヒは怒る様子も無く、少し驚いた顔をすると直ぐに目をそらした。
「ルート、ありがとうございます。」
そう告げると俺の横を通り過ぎた。そんなローデリヒの様子を見たヴェストが胃を押さえながら俺に、兄さん、ローデリヒに謝ってくれ。って何で俺が謝らなきゃならないんだ。
大体ヴェストが迎えに来るんなら最初から俺様がわざわざ迎えに行くことなんてないだろ!
look forward to xx 【02】 へ続きます。