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「いや…っ」
ドア越しに聞こえる声は聞きなれている男性なのに透き通った高い声ではなく、今は小鳥のような少女のそれだ。息を切らせたローデリヒの気配が伝わる。
「だめだ。」
続いて聞こえたのはヴェストの声。こちらも珍しく息を切らせている。
「あっ!」
一体中で何が起こっているのか、そこで堪らずドアを開く。
勢いよく開けられたドアに驚き、2人は動きを止めた。目の前にはヴェストに抱きついている少女の姿のローデリヒ。と、布を高く持ち上げているヴェスト。
「なにやってんだ。」
「兄さん。」
助けてくれ。その悲鳴に近い声に俺の闘志が芽生えそうだ。ヴェストをここまで疲弊させるとは嬢ちゃん侮れないぜ。
かわいいヴェストからの頼みは兄として捨てられない。
「とりあえず離れろ。」
先ずは嬢ちゃんをヴェストから離そうと後ろから引っ張るが、細い体でヴェストにしがみつく様子は子猫がお気に入りの毛玉から離れたくなくて必死に爪を立てているところに似ていて微笑ましい。
力で引き離すことは可能だが、やり過ぎると嬢ちゃんの身体が壊れそうで力を入れようにも入れられず。
ったく、俺にしがみ付けよ!!
と怒鳴ってやりたいが、それも大人げないかと押しとどめる。
「大体、何で嬢ちゃんがヴェストにしがみついてんだ。」
おかしいだろ!?俺じゃないなんて!!
「ルートがまだ履ける下着を捨てようとするからです。」
なんだと。
どうやらローデリヒはこの少女の姿で例の如くヴェストの下着を縫う気らしい。その姿を想像してみる。
「ダメだ。」
「ぜってー許さねぇ。」
俺の下着を縫われるのは嫌だが、頭の中の光景に妙な嫉妬心が芽生える。
「大体年頃のヴェストの気持ちも考えろよ。そんな格好のお前に下着なんか縫われたら可愛そうじゃねーか。もうお前は縫わなくていい。ヴェストの下着は俺が買う!」
しかも妙な提案までしちまった。
「勘弁してくれ。」
あきれ顔のヴェストには悪いが男に二言は無いぜ。
「なっ!?そんなこと許しませんよ。」
ポコポコ怒りだす嬢ちゃんも可愛らしい。そこで俺は閃いた。
「嬢ちゃんの下着も買ってやろうか?」
みるみる嬢ちゃんの顔が赤くなる。
「このお馬鹿さんが!!」