[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
今日花を見つけた。 相変わらず一人で出掛けたまま帰ってこないオーストリアを回収しに行った先で だ。 また道で伸びているのだろうと予想し、見てもいない状況にポコポコと怒りがら 歩き、ようやくオーストリアを見つけた。 珍しいことにオーストリアは伸びてはいない。そのことに幾分か気分が落ち着き 、次いで辺りに響くような大声で怒鳴りつけた。 「何故早く帰って来ないのである!?」 突然の大声に驚いたオーストリアは前に倒れそうになり、慌てて何かを庇うかの ように不自然な動作でバランスを崩していく。 そこで倒れる直前に勢いよく腕を引っ張った為、2人でしりもちをつくことにな った。 ようやくこちらに気付いたオーストリアと目が合う。 「スイス、びっくりしました。」 にっこりと笑顔を向けられたら、先程まで顔を見たら言おうと身の内に溜めてい た怒りも忘れてしまう。 次に帰って来なかったら倍にして言おうと堅く心に誓いながら、結局自分はオー ストリアのことが心配で仕方がないのだと認識する。 「ここで何をしていたのであるか?」 そう聞くとオーストリアは急いで立ち上がり、辺りを見回した。 直ぐに目的のものを見つけたらしく、笑顔を向けてくる。 「スイス、見てください。」 そしてそこには見たことも無いような白い花が一輪、凛と咲き誇っていた。 名も知らぬ花だったが、その白さは気高く、まるでオーストリアのようだと思っ た。 その日からオーストリアは毎日のように、あの花の咲く場所に行くようになった 。 何処かで迷っているのか帰って来るのはやはり遅いものの、行き先が判っている ため安心して回収できた。 そんなある日、やはり道に迷っているのかオーストリアが帰って来ない。 やれやれと仕方なくあの花の場所へと向かった。 オーストリアはそこに居た。 ただいつもと違っていたのは花を見て嬉しそうだった顔が今は涙で濡れているこ とだ。 近付いてみると、オーストリアが泣いている理由がすぐに判る。 気高かったあの花が踏みつけられて今は見る影もなく無惨に地面にひれ伏してい たのだ。 我輩はその場所で、ただただ泣き続けるオーストリアの腕を掴み、無言で歩き出 した。 手を引いたままずんずん先へ進む。 後ろからは未だ泣き声が聞こえ、繋いでいる手をさらにギュッと握る。 しばらく歩いた所でようやく目的地に到着した。 「付いたのである。」 その光景を見て、オーストリアが感嘆の声を上げる。 目の前には先程と同じ白い花が群をなして絨毯のように広がっていたのだ。 ここは先日オーストリアを探しに行った時、偶然見つけた場所だった。 「綺麗…です。」 「そうであるか。」 そのまま2人で花を眺め続けた。辺りもすっかり暗くなったところで、ようやく 言葉を交わす。 「この花が好きなのだな。」 そして笑顔を取り戻したオーストリアは躊躇いもなく応えた。 「この花はスイスに似ていますから、大好きです。」 *×*×*×*×*×* 「なっ!?何故貴様がここに居るのである!!」 今自分が居るのは町の中心でも都市でも無く、賑やかなマーケットでも無い。強 いて言えば何も無い山岳だ。 そしてここは間違いなく自国の領土である。 スイスが声を荒げた先には顔も見たくないオーストリアが居た。 「わかっています。ただ…」 言葉を濁し、それ以上を語ろうとしないオーストリアを睨みつける。 「この辺りかと思いまして。」 それきりオーストリアは視線を外して口を閉じる。 だがその言葉が何を意味しているのか判ってしまった。 「付いて来るのである。」無言のまま2人はあの場所へ向かった。 やがて広がる白白白。 あの時と変わらぬ風景がそこには存在していた。 「綺麗ですね…。」 心なしか嬉しそうな声。 「少しだけなら入国を許可するのである。」 今だけは2人きりだった頃の懐かしい時が流れていた。 エーデルワイス。 その花言葉は『大切な思い出』。
「遅い!!」
吾輩は約束の時間に現れない男に苛立ちを感じていた。
かくなる上は無理やり家から引きずり出して打ち合わせを遂行するしかない。
戦闘態勢を素早く整え、奴の家に向かう。
奴の家には顔を合わせたくない相手がいるが致し方ないだろう。
道を歩いていると目の前に約束の相手―ギルベルト・バイルシュミットが慌てて走っていくのが見えた。
しかし、待ち合わせとは逆の方向に。吾輩との約束をすっぽかすなど許さん、断じて許さんぞ!!
「待て!!」
吾輩は猛烈な勢いで奴の後を追いかける。
「うぉっ!?何だ!!」
この際奴の耳に兎の耳が生えていることなど関係ない!…ん?ウサギの耳?
そう思った時には深い深い穴の中に落ちていた。
着地。
日頃から鍛えていた事もあり、結構な深さが有ったにも関わらず見事に着地を決める。
そして目の前にはピンクを基調とした珍妙な建物が有り、吾輩はまるで迷路のようなその建物の恐らく庭であろう場所に立っていた。
そんな吾輩をギルベルトが怪訝な顔で眺めている。
「なんなんだ?一体。」
「貴様打ち合わせに来ずに何だなどと…」
銃を向けながら詰め寄ろうとすると、そこでハートのステッキに遮られた。
「私のウサギに銃を向けるのは許しません。」
聞きなれた声に顔を向けると其処には豪奢なドレスを着たローデリヒが立っていた。
「あら、」
そう言うと顔をまじまじと眺められる。
近すぎるのではないだろうか、と思ったところでローデリヒのスカートが思いっきり捲れ上がった。女性もののセクシーな下着が丸見えになる。
「!!」
その後ろには猫の耳を付けたフランシスが楽しげに立っていた。
「クイーンの今日の下着は黒のレースか。」
「このお馬鹿さんが!!今日こそその首刎ねて差し上げます。」
そう言うとローデリヒは素早くスカートを上げて太ももに隠していた小型のナイフを取り出そうとした。が、ギルベルトに抑えられる。
「クイーン無理するな。」
それと同時にフランシスの背中には何時の間に現れたのか、衛兵のような格好をしたルートヴィッヒの銃が突き付けられていた。フランシスは観念したという風に両手を上げる。
「縛りあげておしまいなさい。」
瞬く間に縛りあげられたフランシスがルートヴィヒに確保された。
「貴方はこちらにいらっしゃい。」
そう言ってローデリヒに腕を引っ張られる。そこで吾輩のスイッチがはいった。
「何故吾輩が貴様の言うことに従わなければならんのだ!!」
その言葉にひどくビックリした様子のローデリヒにこちらの方が驚いた、これではまるでこちらが悪いようではないか。
「クィーン、お茶の準備が整いました。」
そこに現れたのは。
「リヒテン!」
こちらは可愛らしいメイド姿。
「あの、どうされたのですか?」
ひどく心配されているようだ、リヒテンに心配をかけるのは心が痛むのでここは大人しく従うことにする。
「何でもない、行くぞ。」
案内するように促すと、ローデリヒはホッとしたような顔をして案内を始めた。
――15分後――
「はて、ここは何処でしょう?」
やはりこ奴はローデリヒである。
「貴様あの珍妙な建物に向かっているのでは無いのか。」
「そうなんですけど、これはきっと城が私から離れて行ってるんです。」
その表情は真剣そのもので。ああ!本当に!!
吾輩は先ほどとは逆にローデリヒの腕をつかむと驚くべきスピードで城へと向かった。
「こんなに早く着いたのは初めてです。」
「それは良かったのである。」
幾分かげんなりと応対しているのに嬉々として返されて余計に疲労がたまる。
そして急にローデリヒに抱きつかれた。
「キングお帰りなさい。」
あまりのことに全身が硬直する。
「ところで貴方どうしてそんな恰好をしているのです?」
断じてそれを貴様に言われたくは無い。
「貴方が引き込もってばかりでしたから、ウサギも衛兵も気づかないじゃありませんか。」
「キング、こちらに着替えてくださいまし。」
そう言ってリヒテンから差し出されたのはローデリヒとお揃いの男性用の衣装。目眩がする。
いくらリヒテンの頼みとはいえ、ローデリヒの前でそれは頂けない。
「だってそいつはキングじゃないからね。」
どこから現れたのか、ローデリヒの耳元に顔を寄せてフランシスが囁く。
「!!!」
「このお馬鹿さんが!そんな訳がないでしょう!」
勢いよく立ちあがるローデリヒを後ろから楽しげに抱き締めだした。
その光景をリヒテンの前に立って遮る。
「お兄さんは何でも知ってるんだよ。なんなら本人に聞いてみればいいんじゃない?」
そうこうしている内にローデリヒは身動きが取れなくされていく。
「キング!何とかしてください。」
ダショーン!!!
フランシスがいけ好かないので無意識に身体が動いていた。
その音を聞きつけてギルベルトとルートヴィヒが部屋に入ってきた。
「何時の間に抜けだしたんだ。」
「ったく、クィーンに悪戯していいのは俺様だけだっつってんだろ!」
そうしてフランシスは再び縛りあげられていった。
「吾輩はキングとやらでは無い。」
そう告げた時のあ奴の顔ときたら。
「似ておいででしたので、てっきりキングだと思ってしまいました。許してくださいまし。」
「まぁ、よいのである。」
「クィーンのことも嫌いにならないでくださいまし。」
「ああ。」
もともとあ奴とは反りが合わないのだが、それは伏せておく。
「クィーンはキングのお帰りをもうずっと長い間待っていらしたのです。」
「そうであるか。」
クィーンとやらの嬉々とした顔が思い浮かぶ。あ奴のあんな顔は子供の頃以来であるな。
「私が元の場所に帰して差し上げます。」
「聞けば貴方ウサギの穴から落ちてきたそうですね。」
「私はハートのクィーンですから、問題ありません。」
「うむ。」
「少しだけこのままでいさせてください。」
ぎゅっと抱きつかれる。普段ならローデリヒにこんなことをされるなど思いもしないのだが、不思議とその感触が心地よかった。
「さようなら。」
そう言って頬にキスを受けた。
目が覚めるとそこはバイルシュミット家のベッドだった。
「気がつきましたか?」
目の前にローデリヒがいる。何だかデジャウを感じる。
「貴方急に来たかと思うと私に抱きついてキスをしだしたものですから、頭でも打ったのかと心配しましたよ。」
「!!!」
「それは断じて吾輩では無いのである!!」
アリスの世界が大好きです。オーストリアさんも大好きです。お付き合い頂いてありががとうございました!