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今日花を見つけた。 相変わらず一人で出掛けたまま帰ってこないオーストリアを回収しに行った先で だ。 また道で伸びているのだろうと予想し、見てもいない状況にポコポコと怒りがら 歩き、ようやくオーストリアを見つけた。 珍しいことにオーストリアは伸びてはいない。そのことに幾分か気分が落ち着き 、次いで辺りに響くような大声で怒鳴りつけた。 「何故早く帰って来ないのである!?」 突然の大声に驚いたオーストリアは前に倒れそうになり、慌てて何かを庇うかの ように不自然な動作でバランスを崩していく。 そこで倒れる直前に勢いよく腕を引っ張った為、2人でしりもちをつくことにな った。 ようやくこちらに気付いたオーストリアと目が合う。 「スイス、びっくりしました。」 にっこりと笑顔を向けられたら、先程まで顔を見たら言おうと身の内に溜めてい た怒りも忘れてしまう。 次に帰って来なかったら倍にして言おうと堅く心に誓いながら、結局自分はオー ストリアのことが心配で仕方がないのだと認識する。 「ここで何をしていたのであるか?」 そう聞くとオーストリアは急いで立ち上がり、辺りを見回した。 直ぐに目的のものを見つけたらしく、笑顔を向けてくる。 「スイス、見てください。」 そしてそこには見たことも無いような白い花が一輪、凛と咲き誇っていた。 名も知らぬ花だったが、その白さは気高く、まるでオーストリアのようだと思っ た。 その日からオーストリアは毎日のように、あの花の咲く場所に行くようになった 。 何処かで迷っているのか帰って来るのはやはり遅いものの、行き先が判っている ため安心して回収できた。 そんなある日、やはり道に迷っているのかオーストリアが帰って来ない。 やれやれと仕方なくあの花の場所へと向かった。 オーストリアはそこに居た。 ただいつもと違っていたのは花を見て嬉しそうだった顔が今は涙で濡れているこ とだ。 近付いてみると、オーストリアが泣いている理由がすぐに判る。 気高かったあの花が踏みつけられて今は見る影もなく無惨に地面にひれ伏してい たのだ。 我輩はその場所で、ただただ泣き続けるオーストリアの腕を掴み、無言で歩き出 した。 手を引いたままずんずん先へ進む。 後ろからは未だ泣き声が聞こえ、繋いでいる手をさらにギュッと握る。 しばらく歩いた所でようやく目的地に到着した。 「付いたのである。」 その光景を見て、オーストリアが感嘆の声を上げる。 目の前には先程と同じ白い花が群をなして絨毯のように広がっていたのだ。 ここは先日オーストリアを探しに行った時、偶然見つけた場所だった。 「綺麗…です。」 「そうであるか。」 そのまま2人で花を眺め続けた。辺りもすっかり暗くなったところで、ようやく 言葉を交わす。 「この花が好きなのだな。」 そして笑顔を取り戻したオーストリアは躊躇いもなく応えた。 「この花はスイスに似ていますから、大好きです。」 *×*×*×*×*×* 「なっ!?何故貴様がここに居るのである!!」 今自分が居るのは町の中心でも都市でも無く、賑やかなマーケットでも無い。強 いて言えば何も無い山岳だ。 そしてここは間違いなく自国の領土である。 スイスが声を荒げた先には顔も見たくないオーストリアが居た。 「わかっています。ただ…」 言葉を濁し、それ以上を語ろうとしないオーストリアを睨みつける。 「この辺りかと思いまして。」 それきりオーストリアは視線を外して口を閉じる。 だがその言葉が何を意味しているのか判ってしまった。 「付いて来るのである。」無言のまま2人はあの場所へ向かった。 やがて広がる白白白。 あの時と変わらぬ風景がそこには存在していた。 「綺麗ですね…。」 心なしか嬉しそうな声。 「少しだけなら入国を許可するのである。」 今だけは2人きりだった頃の懐かしい時が流れていた。 エーデルワイス。 その花言葉は『大切な思い出』。
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